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クラウドソーシングとは? 仕事の方式やジャンル、言葉の定義などを解説
クラウドソーシングとは
クラウドソーシングとは、一言で簡単に言えば「オンライン上で不特定多数の人に業務を発注すること」です。
では、仕事をする私たちはどうやって作業を行うことになるのか? これだけだとイメージしにくいと思いますので、データ入力のような「タスク方式」の仕事を例に挙げて説明してみます。
今まではデータ入力の仕事をするとなると、何人かの作業者が、発注者(クライアント)から直接依頼を受けて作業するとか、あるいは専門の業者にあらかじめ登録しておいて、仕事はその業者から割り振られるといった「アウトソーシング」の形でした。
これが「クラウドソーシング」なら、発注者はネットを介して不特定多数の人(ランサー)に、作業を募集することになります。タスク方式の仕事では、基本的に発注者から直接作業を指示されることはありません。作業者は募集を見て、参加したければ参加すれば良いのです。
タスク方式の仕事の例を見てみましょう。
○○○○に関するデータ入力・収集のお仕事です。
お仕事詳細:
▽データ入力・収集の目的・概要 ○○○○のデータを入力・収集していただきます。
▽データ入力・収集で求められるスキル ・コツコツ丁寧な作業ができる方 ・検索エンジンを活用して情報収集できる方
募集件数:100件、報酬:1件あたり33円
募集件数が100件となっています。アウトソーシングではデータ入力を100件依頼されたら100件やらなければなりませんが、クラウドソーシングはその点も違います。100件募集がある場合でも、1件から作業に参加することが可能です。もしこのような作業者が100人いたとしたらどうでしょうか。100人が同時に作業すれば、あっという間にデータ入力が完了するに違いありません。
1件作業すれば33円の報酬になります。もちろん1人で10件、20件とたくさん作業しても問題ありません。例えば10件作業すれば330円の報酬です。参加して作業した分だけ報酬をもらうことができます。
とても気軽に参加できるので、クラウドソーシングは、意外と敷居が低いというのがわかると思います。
また、自分の好きな時間、好きな量だけ、やれる仕事だけを選ぶことができ、時間と場所を選ばないところもメリットです。
他にはこんな方式も
仕事の形式は、タスク方式の他にもあります。
「プロジェクト方式」は、クライアントとランサーが同等の立場で仕事の契約を結ぶ形です。従来のアウトソーシングのような、1対1のマッチング方式ですね。高額な仕事を一度にまとめてもらうことができるので、月に何万円と稼ぐことも可能です。
このような感じで募集が行われます。
■ 依頼の目的/概要 弊社では、20代の女性をターゲットとしたアパレル専門のネットショップを運営しております。そのサイト内で使用するロゴの作成をお願いいたします。
■弊社サイトURL http://www.●●●.jp
■ ロゴ表記名称 ABC apparel
■希望ロゴ種類 店名の文字を基調としたシンプルなデザインでお願いします。 カラーはパステルカラー等のあまり派手すぎない色でお願いします。
■納品ファイル 高解像度JPG(.jpg)
不明点があれば、お気軽にご質問ください。 どうぞよろしくお願いいたします。
報酬金額:5,000円~50,000円
ランサーはこの募集について「ぜひ私に仕事させてください!」とメッセージとともに見積もりを提出します。クライアントは受け取ったメッセージ・見積もりを参考にして、適したランサーを選定します。そこで選ばれたランサーにめでたく受注が決定します。
そして「コンペ方式」は、クライアントが多くのランサーに直接作品を提出してもらい、その中から1件を採用するというものです。ランサーは採用されれば報酬をもらうことができます。採用されなければ基本的に報酬が入らないのが難点ですが、採用されれば一度に数千円~数万円ほどの収入を得ることができます。
募集の記載はプロジェクト方式に近いですが、より細かく条件が書かれていることが多いです(例えばデザインの仕事なら、色や雰囲気・テイストなど)。
さまざまなクラウドソーシングサイトがあります
クラウドソーシングサイトの大手といえば「ランサーズ」と「クラウドワークス
」でしょう。どちらのサイトもクライアント・ランサー双方で多数の登録者がおり、案件の掲載数も数え切れないぐらい存在しています。
扱われている仕事のジャンルは、パソコンでできるものがほとんどです。データ入力・収集だけでなく、文章のライティングや、ロゴ・イラストのデザイン、ウェブやプログラム・アプリの開発、それにアイデア募集まで、さまざまなものがあります。自分のスキルに合った仕事がきっと見つかるはずです。
大手サイト以外にも、ライティングに特化した「Shinobiライティング」「Sagoooワークス」や、デザインに特化した「Crowd Gate」のように業種に特化したサイト、「Skets」や「Wemake」のようにアイデア募集が行われているサイトなど、いろいろあります。
広がる市場
クラウドソーシングは特に2011年~2012年頃から盛り上がって来ました。クラウドソーシングの仕事メインで生計を立てている方も多いようで、特に優れた方はネット上のインタビュー記事などで取り上げられることが多くなってきました。
「クラウドワークス」の運営会社はマザーズ市場に上場を達成。「ランサーズ」の方も数年のうちに上場するのではないか、という声が聞かれます。市場は確実に大きくなっているようですね。
「クラウドソーシング」という言葉の定義
クラウドソーシングは、英語で書くと「crowdsourcing」。crowd(群衆)にsourcing(業務委託)するという意味の造語です。たまにcrowdをcloud(雲)としている記載があったりしますが、それは誤りです。同じ時期に流行り出した言葉で「クラウドコンピューティング(cloud computing)」があるので、それと混同したのかもしれませんね。
さて、「クラウドソーシング」という言葉の定義ですが、あいまいな部分が見られます。
IT用語辞典を見ると、次のように書かれています。
インターネットを利用して不特定多数の人に業務を発注したり、受注者の募集を行うこと。また、そのような受発注ができるWebサービス。
特に「不特定多数の人に」のところがポイントで、これを厳密に解釈すれば、先ほど紹介した3つの仕事方式のうち、プロジェクト方式やコンペ方式の仕事は当てはまらなくなってしまい、タスク方式の仕事だけになってしまいます。
狭義にとらえれば、そうなってしまうのかも知れません。しかし実際にはタスク方式に加えて、プロジェクト方式やコンペ方式も、合わせてクラウドソーシングと呼ばれることが多いようです。
1990年代~2000年代前半ごろに流行した「SOHOサイト」のように、プロジェクト方式でクライアントとランサーをマッチングするサービスは「クラウドソーシング」という言葉が生まれる前から存在しました。しかし「ランサーズ」や「クラウドワークス」をそれらと比べると、ウェブ上でのコミュニケーション機能や報酬の受け渡し機能などが強化されており、ネット上で仕事を完結できるように進化が見られます。今のクラウドソーシングサイトは、昔のSOHOサイトの進化形という側面もありそうです。
一方で、クラウドソーシングサイトを名乗るサイトは増え続けており、その中には従来の「アウトソーシング」と何ら変わりないものや、「これは本当にクラウドソーシングサイトと言えるのか?」と思えるものも見受けられます(極端なものでは「自社で厳選したスタッフに業務を発注できます」とあるだけで、ランサーの会員登録機能すら用意されていないものとか……)。このあたりは注意が必要なところ。
定義が発散し、また乱用もされるようになってきている感じを受けます。
この「クラウドソーシング」という言葉の定義をより明確にしようという動きも、主に海外であります。
「クラウドソーシング」という言葉を生んだ1人であるジェフ・ハウが2006年6月にWIRED誌に掲載した定義は以下のものでした。日本語訳をWikipediaより引用です。
「単純に定義すると、クラウドソーシングは、かつて従業員によって実行されていた機能を、公募するような形で不特定(かつ一般的には大規模な)人々のネットワークにアウトソーシングする企業や機関の行為のことを指す。これは、集団労働(作業が協調的に取り組まれる場合)の形を取ることができるが、しばしば、単独の個人によっても行われる。重要な前提条件は、公募形式と潜在的な労働者の大規模なネットワークを使用することである。」
その後、経営学者のエンリケ・エステリェス・アローラスとフェルナンド・ゴンザレス・ラドロン・デ・ゲバラが、拡散した定義の統合を図って作成した定義は以下のものです。こちらも日本語訳をWikipediaより引用です。
「クラウドソーシングは、個人や組織、非営利団体、または企業が、様々な知識を持つ種々混合で多数の個人から成るグループに、柔軟性のある公募を通して、自発的に作業に取り組むことを提案する参加型オンライン活動の一種である。群衆が自分の労働力やお金、知識および(あるいは)経験を持ち寄って参加する、複雑さやモジュラリティが異なるタスクの遂行においては、常に相互の利益が伴っている。つまり、労働者は経済的利益あるいは社会的な認識、自尊心、個人の技能の成長のようなある種の満足感を受け取る必要とする。そして一方で依頼主は労働者が事業にもたらした成果(遂行された活動の種類に寄って形式は異なる)を入手して有利に活用する。」
長いですね……。あなたはどのように考えるでしょうか?
暗黙のクラウドソーシング!?
変わったクラウドソーシングの形として、「暗黙のクラウドソーシング」というのもあります。
「reCAPTCHA」というのをご存じでしょうか。ウェブ上の入力フォームによくついている、読みにくい文字が書かれた画像を見て何が書いてあるか答えるものです。スパム防止の目的で設置されていますね。こんなやつです。
ネットをよく使う方であれば一度は目にしたことがあるかと思います。reCAPTCHAは2つの英単語を答えるようになっているのが特徴です。
なぜこれが「暗黙のクラウドソーシング」なのかと言うと、実はこれは、2つの英単語の画像のうち片方に、OCR(文字読取装置)で読み取ることができなかったものが使われていて、それを人間に読み取らせることで答えを取得し、活用しているのです。
reCAPTCHAを解いている人間は、自分がそんな作業に貢献しているとは気づかないでしょう。
ちなみに、もう片方の英単語の画像はOCRで読み取れているので、そちらは人間が入力した内容とOCRが読み取った答えを照らし合わせることができます。スパム防止の機能はこちらで満たすことになります。
「クラウドソーシング」という言葉ひとつとっても、さまざまな顔がありますね。将来的には、さらに新しい仕組みを持ったサービスが登場してくるかも知れません。これからも目が離せないキーワードだと思います。